2026年4月のX紹介精密育種・ゲノム編集論文&ニュース

株式会社セツロテックのX(旧Twitter)アカウントでは、精密育種やゲノム編集技術に関する論文やニュースを、弊社メンバーが独断と偏見でピックアップしてつぶやいています。弊社の提供するサービスとは直接関係ない情報も含め、幅広くお届けしております。精密育種技術の社会実装を目指す大学発ベンチャーとして、皆さんの新技術への理解増進の一助になれば幸いです。ぜひ、フォローを!ここでは、2026年4月のポストで紹介した内容を再編成して掲載いたします。なお、本記事の内容は、発表された論文やニュースの内容を紹介するものであり、会社としての正式な見解では無く、担当者個人の理解によるものです。
Index
弊社研究員による鶏卵雌雄判別技術に関する報告
Eye pigmentation–based in-ovo chicken sexing via precision breeding Chen et al., Front Bioeng Biotechnol. 2026 Apr 1:14:1785893.
セツロテックの研究員らが発表した、ニワトリの雌雄を早期に判別する新技術に関する研究論文。本論文では、色素形成に関与する SLC45A2 遺伝子の機能を精密育種技術によって失わせたニワトリ系統を開発したことを報告する。この系統を用いることで、孵卵7日目(E7)に現れる眼の色の違いを卵外から観察することで、雌雄の判別が可能であることを実証した。特別な装置を必要とせず、既存の孵化工程に適用可能である点が本技術の大きな強みであり、実用性とアニマルウェルフェアの両立に資する技術として期待される。
CRISPR-Cas12aシステムについての最新レビュー
Molecular mechanisms and biotechnology applications of CRISPR–Cas12a Saha et al., Nat Rev Mol Cell Biol. 2026 Apr 27 (Online ahead of print).
近年急速に利用例が増えているCRISPR-Cas12aシステムについてのNature Reviews Molecular Cell Biology誌のレビュー論文。Cas9と比較することで、強力なトランス切断活性などCas12aならではの特性を整理し、その機能の拡張を目指す最近の改変体開発での進歩を解説する。
アミノ酸変異の導入による高機能小型Cas9の作製
Engineering a compact high-fidelity Staphylococcus aureus Cas9 variant with broader targeting range and mechanistic insights into its activation Omura et al., Nat Commun. 2026 Apr 16;17(1):3584.
黄色ブドウ球菌由来の小型のCas9(1,053 aa)に、12個のアミノ酸変異を導入して高機能改変体を作製した報告。PAMを緩和しながら、高い標的忠実度を維持する(オフターゲット活性を低減させた)変異体の作製に成功した。Nature Communications誌。
in vivo塩基編集による治療にはABE8e-V106Wがおすすめ
In vivo base editing rescues liver pathophysiology and peroxisome dysfunction in a mouse model of Zellweger spectrum disorder Gao et al., Nat Biomed Eng. 2026 Apr 14 (Online ahead of print).
ツェルウェーガー症候群のモデルマウスで、PEX1遺伝子の変異をin vivo塩基編集で修正すると、ペルオキシソームと肝臓の機能が回復した。ABE8e-V106Wは、赤ん坊”KJ Muldoon”の治療でも使われており、様々な疾患に応用できるかもしれない。Nature Biomedical Engineering誌。
トカゲのゲノム編集プロトコル
A Surgical Method for Oocyte Injection and CRISPR–Cas9 Mutagenesis in Anolis Lizards Sabin et al., Cold Spring Harb Protoc. 2026 Apr 1;2026(4):pdb.prot108652.
有鱗目のブラウンアノールトカゲ(Anolis sagrei)におけるゲノム編集プロトコルの報告。外科的アプローチで卵巣内で成熟中の未受精卵にアクセスし、CRISPR-Cas9 RNP複合体をマイクロインジェクションする。Cold Spring Harbor Protocols誌。
AIと遺伝子工学を統合した未来の品種改良とは?
Synergizing Genome Editing and Artificial Intelligence for Predictive Crop Design Wang et al., Mol Plant. 2026 Apr 16:S1674-2052(26)00116-4.
AIの登場&品種改良加速技術(ゲノム編集技術)で、作物の品種改良は、経験的最適化から予測的設計へと移行しつつある。Molecular Plant誌のレビュー論文。AIと遺伝子工学を統合することで、より効率的で持続可能な作物工学を実現できると主張する。
CRISPR療法がより身近になる可能性
Personalized CRISPR therapies could soon reach thousands — here’s how Urnov & Kassim, Nature. 2026 Apr;652(8111):857-859.
患者個人にカスタマイズしたCRISPR療法が、経済的に実現可能なものになる可能性を論じるNature誌のCOMMENT記事。2月にFDAが新しく提案した合理化された承認経路によって、CRISPR療法を臨床現場に導入するまでの期間と費用が大幅に短縮できると予測される。
細菌の免疫システムは未来の分子ツールの「宝庫」
‘Treasure trove’ of antiviral proteins could inspire powerful molecular tools Naddaf, Nature. 2026 Apr;652(8110):554.
制限酵素もCRISPR-Casシステムも、元は細菌の免疫システム。タンパク質配列とゲノム情報を活用して細菌の免疫タンパク質を予測する機械学習アルゴリズムで、強力なツール開発の糸口となる可能性がある潜在的な抗ファージファミリーを多数特定した。Nature誌のニュース記事。
ゲノムワイドなオフターゲット活性評価法「Tracking-seq」
Tracking-seq: a universal off-target detection approach for CRISPR–Cas genome editing Xu et al., Nat Protoc. 2026 Mar 24 (Online ahead of print).
ゲノムワイドなオフターゲット活性評価法「Tracking-seq」のプロトコル論文。ほとんどのゲノムエディターで誘導されるDNA修復経路において、ssDNA中間体が生成されることに着目。これに結合する複製タンパク質AをCUT&RUN法で追跡する。Nature Protocols誌。
βヘモグロビン異常症への遺伝子編集アプローチは有望な戦略
New gene-editing approaches for β-hemoglobinopathies O’Leary, Nat Med. 2026 Apr 17 (Online ahead of print).
βヘモグロビン異常症に対する新たな遺伝子編集アプローチを紹介するNature Medicine誌の”RESEARCH HIGHLIGHT”記事。HBG1およびHBG2遺伝子のプロモーター領域を標的とする治療法「レニセル」と「リストセル」は、第1/2相臨床試験の結果、有望な戦略であることが示された。

