システム概要
・IntelliCage(独 TSE Systems)は、コンピュータ制御による集団飼育環境下・全自動マウス/ラット行動試験システムです。大型のホームケージ内における集団飼育状態のマウスやラットの自発的行動から高度な認知的行動までを、マイクロチップによる個体識別技術と各種センサー・アクチュエータを組み合わせて全自動収集するシステムです。
・IntelliCage for Miceでは1台のIntelliCageにつき最大で16匹の集団飼育マウス、IntelliCage for Ratsでは最大で8匹の集団飼育ラットの行動試験が可能です。集団飼育環境であっても、全てのマウスは事前に皮下に埋め込まれた安全性の高いマイクロチップによりIntelliCage内で正確に個体識別されます。
ハードウェア/ソフトウェア
・IntelliCageでは大型の飼育ケージの中に4つのコーナー型オペラント学習チャンバー(通称:コーナー)が設置され、RFID技術による個体識別、各種センサ(サーモパイル型赤外線センサ、赤外線ビームセンサ、接触センサ)を組み合わせた行動記録、プログラマブルな2種類のアクチュエータ(ドア、電磁弁)による報酬・罰の呈示により、完全に自動化された、多様な認知機能試験が可能です。
・ユーザーフレンドリーなGUIソフトウェア(Designer, Controller, Analyzer)により、研究目的に最適化された自由度の高い行動試験のプログラミング、試験実施中のリアルタイムなデータの視覚化・異常検知、膨大な取得データの可視化・レビュー・トリミング等が簡単に行えます。
利点/実績
・行動試験の再現性低下の最大の要因とされる「ヒトと動物の接触」を排除することで、ノイズの少ない行動データを収集することができます。複数機関において同条件で収集されたデータの比較から、再現性の高いデータが得られることがみとめられています(Krackow et al., 2010)
・実験者の労働時間やバイアスに依存しない、客観的・長期的・大規模な行動データの収集が可能になります。
・1つのシステムで、基礎的な基礎活動量の測定から、記憶・学習機能、注意機能、社会的行動等、多様な高次の認知機能の評価までが可能です。
・これまで遺伝子改変動物の行動表現型解析や、医薬品候補化合物の薬効・薬理試験、食品の機能性評価、毒性・安全性試験等に幅広く活用され、Nature誌を始めとした300以上の学術論文や特許申請で利用されています。
・使用されている疾患モデル動物の例
-アルツハイマー型認知症モデル
-パーキンソン病モデル
-自閉スペクトラム症モデル
-注意欠陥/多動症モデル
-統合失調症モデル
-アルコール依存症モデル
-老化モデル
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オミクス時代のマウス認知・運動表現型解析
フェノバンス合同会社 代表社員 遠藤 俊裕
参考文献
“RFID技術を用いた集団飼育環境下全自動マウス行動解析システム IntelliCage”, 遠藤俊裕, LABIO 21, 2022
セツロテックは、TSE-Systems社製の全自動マウス行動解析機器(日本総代理店;フェノバンス合同会社)の販売代理店です。