2025年6月のX(Twitter)紹介ゲノム編集論文&ニュース

株式会社セツロテックのX(旧Twitter)アカウントでは、ゲノム編集に関する論文やニュースを、弊社メンバーが独断と偏見でピックアップしてつぶやいています。弊社の提供するサービスとは直接関係ない情報も含め、幅広くお届けしております。ゲノム編集技術の社会実装を目指す大学発ベンチャーとして、皆さんの新技術への理解増進の一助になれば幸いです。ぜひ、フォローを!ここでは、2025年6月のポストで紹介した内容を再編成して掲載いたします。なお、本記事の内容は、発表された論文やニュースの内容を紹介するものであり、会社としての正式な見解では無く、担当者個人の理解によるものです。

有機農業の推進と新しい育種技術の活用は両立しうる

New genomic techniques in organic production: Considerations for science‑based, effective, and acceptable EU regulation — Molitorisová et al., Cell Reports Sustainability. 2025 Jun 27; 2(6):100405.
EUの掲げる有機農業目標の達成のために、新ゲノム技術(NGTs)の活用を認めるべきだという意見論文。研究者らは、ゲノム編集技術によって品種改良を加速し、作物の多様性を高めることが、有機農業での効率性と回復力に貢献すると主張する。Cell Reports Sustainability誌。

オーツ麦のゲノム編集に初めて成功

A highly efficient CRISPR‑Cas9‑based gene‑editing system in oat (Avena sativa L.) — Mehtab‑Singh et al., Plant Biotechnology Journal. 2025 May 26 (Online ahead of print).
エンバク(オーツ麦)でのゲノム編集に初めて成功。CRISPR‑Cas9システムを使って50%という高い編集効率で標的遺伝子配列に欠失・挿入を導入し、変異体では葉の形状や栄養成長期の延長などの形質変化が観察された。Plant Biotechnology Journal誌。

ブタ胚の中でヒト心臓細胞を培養することに成功

Tiny human hearts grown in pig embryos for the first time — Mallapaty, Nature. 2025 Jun; 642(8069):852.
ブタ胚の中で、移植したヒト心臓細胞を21日間培養することに成功した。心臓の発達に必要な2つの遺伝子をノックアウトしたブタ胚にヒト幹細胞を導入し代理母ブタに移植すると、指先ほどの大きさまで成長して鼓動していた。Nature誌ニュース記事。

野生植物がいかに環境変化に対応してきたかを学ぶ

Can wild plant adaptations help crops tolerate heat? — Yeaman, Science. 2025 Jun 12; 388(6752):1148‑1150.
野生植物が過去の環境変化に適応してきた戦略を手本とし、気候変動による作物収量減少の解決策を探る展望論文。ゲノム編集技術の進歩で多数の遺伝子座を標的にできる現在、適切な標的選定の重要性が増している。Science誌。

小鳥は酸いも甘いも噛み分ける

Molecular evolution of sour tolerance in birds — Zhang et al., Science. 2025 Jun 19; 388(6753):1330‑1336.
鳥類が酸っぱい木の実を食べられる理由は、酸味受容体OTOP1が低pH条件下で阻害されるためである。CRISPR‑Cas9ノックインによりOTOP1遺伝子をカナリア型に置換したマウスでは、酸味耐性(神経活動パターンの変化)が誘導された。Science誌。

人類の異種臓器移植へのチャレンジを振り返る

The organ farm — Cohen, Science. 2025 May 29; 388(6750):906‑912.
1922年のセルジュ・ボロノフによる睾丸移植から、最新のCRISPRゲノム編集ブタ腎臓移植まで、異種移植の歴史を概観。ブタ臓器企業4社が標的とするゲノム編集箇所の比較表も掲載。Science誌ニュース記事。

長期間保存可能な遅熟メロンをゲノム編集で開発

A long shelf‑life melon created via CRISPR/Cas9 RNP‑based in planta genome editing — Sasaki et al., Frontiers in Genome Editing. 2025 Jun 18; 7:1623097.
CRISPR‑Cas9 RNPをパーティクルボンバードメント法でシュート頂端分裂組織へ送達し、エチレン生合成遺伝子CmACO1を編集。変異体では果実成熟が遅れ、貯蔵寿命が大幅に延長した。Frontiers in Genome Editing誌。

小麦の祖先をたどって病害抵抗性遺伝子を取得

A head‑to‑head NLR gene pair from wild emmer confers stripe rust resistance in wheat — Hu et al., Nature Genetics. 2025 Jun; 57(6):1543‑1552.
野生エンマーコムギから黄さび病抵抗性遺伝子YrTD121をクローニング。CRISPR‑Cas9編集によりTdNLR1とTdNLR2のペアが抵抗性発現に必要であると判明。Nature Genetics誌。

イングランドで植物の精密育種の商用利用を認める動き

England poised to green‑light precision breeding — Nat Biotechnol. 2025 Jun; 43(6):837.
イングランドで植物の精密育種(Precision breeding)の商業利用を認可する見通し。遺伝子改変の範囲は従来育種でも得られる変異に限定され、健康・環境リスクは従来品種と同等と判断。Nature Biotechnology誌News in Brief。

カリフォルニア大学らがCRISPR‑Cas9特許権取得を巡る訴訟を再開

Court reignites CRISPR patent dispute — Nat Biotechnol. 2025 Jun; 43(6):835.
CRISPR‑Cas9の特許権を巡る訴訟が再燃したことを報じる記事を紹介したポストのリポスト。

染色体の逆位を利用してプロモーター領域を置換する

ゲノム編集で遺伝子の“スイッチ”を入れ替える! 作物改良の新たなアプローチ ~農業分野への応用に期待~ — 広島大学プレスリリース (2025 年 6 月 26 日)
染色体逆位を活用し、ゲノム編集で遺伝子プロモーター領域を置換することで作物改良をめざす研究を紹介した広島大学プレスリリースをリポスト。

SHARE