2025年5月のX(Twitter)紹介ゲノム編集論文&ニュース

株式会社セツロテックのX(旧Twitter)アカウントでは、ゲノム編集に関する論文やニュースを、弊社メンバーが独断と偏見でピックアップしてつぶやいています。弊社の提供するサービスとは直接関係ない情報も含め、幅広くお届けしております。ゲノム編集技術の社会実装を目指す大学発ベンチャーとして、皆さんの新技術への理解増進の一助になれば幸いです。ぜひ、フォローを!ここでは、2025年5月のポストで紹介した内容を再編成して掲載いたします。なお、本記事の内容は、発表された論文やニュースの内容を紹介するものであり、会社としての正式な見解では無く、担当者個人の理解によるものです。
Index
PRRS耐性ゲノム編集ブタをFDAが承認
The US has approved CRISPR pigs for food
MIT Technology Review 2025年5月2日
https://www.technologyreview.com/2025/05/02/1116059/the-us-approves-crispr-pigs-for-food/
米FDAが、Genus社のPRRS耐性ゲノム編集ブタに承認を付与したとのこと。CRISPR-Casシステムによって、豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)ウイルスが細胞に侵入する際に使用する受容体を除去しており、感染しない。アメリカ産豚肉の主要輸出市場である他国でも承認を目指す。MIT Technology Review誌。
インドでゲノム編集イネの開発が進む
India approves first genome-edited rice varieties
Priyadarshini, Nature India. 2025年5月4日
https://doi.org/10.1038/d44151-025-00078-2
インドが2種類のゲノム編集イネ品種を承認。CRISPR-Cas9で外来DNAを挿入せずに高収量・ストレス耐性・気候耐性を付与し、GMO規制の対象外と見なされる。今後は大規模な栽培試験を経て商業化へ。
Fanzorのゲノム編集効率が実用レベルまで向上
Engineering eukaryotic transposon-encoded Fanzor2 system for genome editing in mammals
Wei ほか, Nature Chemical Biology. 2025年5月20日(オンライン先行)
https://doi.org/10.1038/s41589-025-01902-7
AlphaFold3による構造予測を基にFanzorヌクレアーゼとωRNAを改良し、ゲノム編集効率を大幅に改善。マウス胚注入やAAV単回投与によるin vivo編集にも成功し、研究・治療応用の可能性を示した。
CRISPRで生細胞内RNAの空間局在を自在に制御
Programmable control of spatial transcriptome in live cells and neurons
Han ほか, Nature. 2025年5月21日(オンライン先行)
https://doi.org/10.1038/s41586-025-09020-z
不活性dCas13を利用した「CRISPR-TO」により、内在性RNAをニューロン内の任意の場所へ“配達”可能に。空間トランスクリプトームの機能解析や神経回路研究の新たな手段となる。
乳酸菌の塩基編集でリスク物質産生を十分の一に低減
Development of a highly efficient base editing system for Lactobacilli to improve probiotics and dissect essential functions
Mitsunobu ほか, Applied Microbiology and Biotechnology. 2025年4月22日
https://doi.org/10.1007/s00253-025-13489-z
日本発「Target-AID」塩基編集でurdA遺伝子に点変異を導入。2型糖尿病リスク関連物質イミダゾールプロピオン酸の産生が1/10に減少し、機能性プロバイオティクス開発に道を開いた。
認知症病態を忠実に再現するタウ変異ノックインマウス
Human MAPT knock-in mouse models of frontotemporal dementia for the neurodegenerative research community
Morito ほか, Cell Reports Methods. 2025年4月21日
https://doi.org/10.1016/j.crmeth.2025.101024
ベースエディターでタウ遺伝子に病原性変異を導入し、過剰発現によらず病態を再現。全自動行動解析システム「IntelliCage」を活用し、前頭側頭型認知症研究の新たな基盤モデルを樹立。
CRISPR特許紛争で新たな司法判断が下る
Nobel Prize winners convince court to revive CRISPR patent dispute
Reuters. 2025年5月13日
https://www.reuters.com/legal/government/nobel-prize-winners-convince-court-revive-crispr-patent-dispute-2025-05-12/
米連邦巡回控訴裁判所がBroad研究所を支持した2022年の米特許商標庁判断を差し戻し、カリフォルニア大学・ウィーン大学側の主張を再審理へ。ゲノム編集技術の産業的帰属に影響する重要な動き。
化学療法抵抗性腫瘍をEPO経路遮断で弱体化
Epo-calypse now
Arnouk & Ginderachter, Science. 2025年4月25日;388(6745):358-359
https://doi.org/10.1126/science.adx3810
非炎症性腫瘍がエリスロポエチン依存的に増殖することを発見。肝マクロファージのEPO受容体をCRISPR欠損させたマウスでは腫瘍増殖が抑制され、EPOシグナル阻害が抗がん戦略になり得ると示唆。
CRISPRカスタム治療が希少代謝疾患の乳児に奏功
Patient-Specific In Vivo Gene Editing to Treat a Rare Genetic Disease
Musnuru ほか, New England Journal of Medicine. 2025年5月15日(オンライン先行)
https://doi.org/10.1056/nejmoa2504747
カルバミルリン酸合成酵素I欠損症の乳児に個別設計したCRISPR治療を投与し、臨床的改善を確認。生殖細胞を標的外にする設計で患者本人のみが変化を受け、個別化遺伝子治療の可能性を示した。
植物ウイルスを使いトランスジーンフリー編集を実現
Viral delivery of an RNA-guided genome editor for transgene-free germline editing in Arabidopsis
Weiss ほか, Nature Plants. 2025年4月22日;11(5):967-976
https://doi.org/10.1038/s41477-025-01989-9
コンパクトなRNA誘導型ヌクレアーゼTnpBをタバコ茎えそウイルスに搭載し、シロイヌナズナでトランスジーンを残さない胚系列編集を達成。植物ウイルスの全身感染能を“運び屋”に活用する革新的アプローチ。
二本鎖切断なしで長鎖DNAを高効率ノックイン
Programmable gene insertion in human cells with a laboratory-evolved CRISPR-associated transposase
Witte ほか, Science. 2025年5月15日;388(6748):eadt5199
https://doi.org/10.1126/science.adt5199
実験室進化で活性を200倍に向上させたCRISPR-associatedトランスポザーゼ「evoCAST」を開発。ヒト細胞で10–30%の効率で長鎖DNAを狙った座位に挿入でき、ゲノム工学と遺伝子治療の新基盤となる。

