2025年4月のX(Twitter)紹介ゲノム編集論文&ニュース

株式会社セツロテックのX(旧Twitter)アカウントでは、ゲノム編集に関する論文やニュースを、弊社メンバーが独断と偏見でピックアップしてつぶやいています。弊社の提供するサービスとは直接関係ない情報も含め、幅広くお届けしております。ゲノム編集技術の社会実装を目指す大学発ベンチャーとして、皆さんの新技術への理解増進の一助になれば幸いです。ぜひ、フォローを!ここでは、2025年4月のポストで紹介した内容を再編成して掲載いたします。なお、本記事の内容は、発表された論文やニュースの内容を紹介するものであり、会社としての正式な見解では無く、担当者個人の理解によるものです。

ゲノム編集技術で絶滅した動物の外見を再現

The Return of the Dire Wolf
TIME 2025年4月7日
https://time.com/7274542/colossal-dire-wolf/
コロッサル社が、ハイイロオオカミをゲノム編集して絶滅したダイアウルフの外見を再現。ダイアウルフの歯や骨の化石から抽出したゲノム情報を参考に、ハイイロオオカミの内皮前駆細胞(EPC)で14個の遺伝子に20個の編集を加え、クローンを作製した。TIME誌。

ダイアウルフは本当にゲノム編集技術で「復活」したのか?

Is the dire wolf back from the dead? Not exactly
Jacobs, Science NEWS 2025 Apr 8
https://doi.org/10.1126/science.zl0oigi
コロッサル社が絶滅したダイアウルフの「復活」と喧伝していることに対して、これは科学的には、外見だけ「っぽく」似せた”genetically edited gray wolf”なのでは?という指摘。“Would a chimpanzee with 20 gene edits be human?”とはなかなか辛辣。ScienceのNEWS記事。

バラの進化の過程をたどって品種改良のヒントを得る

Phenotypic and genomic signatures across wild Rosa species open new horizons for modern rose breeding
Cheng et al., Nat Plants. 2025 Apr 4;11(4):775–789.
https://doi.org/10.1038/s41477-025-01955-5
すべてのバラは、かつて黄色い花であった。84種205サンプルのゲノム解析によって、「栽培化」される前のバラ属の祖先の特徴を再構築した結果、黄色の一重咲きの花に遡ることが明らかになった。進化の過程をたどることは、今後の品種改良に役立つ。Nature Plants誌。

ウイルス様粒子を利用した簡便な遺伝子改変マウス作製法

An innovative approach using CRISPR-ribonucleoprotein packaged in virus-like particles to generate genetically engineered mouse models
Jeong et al., Nat Commun. 2025 Apr 11;16(1):3451.
https://doi.org/10.1038/s41467-025-58364-7
CRISPR-VIM法:ウイルス様粒子(VLP)でパッケージングしたCRISPR-RNPとマウス受精卵を共培養して、遺伝子改変マウスを作製。エレクトロポレーションやマイクロインジェクションなどの特殊な技術や機器が不要で、細胞ダメージも引き起こさない。Nature Communications誌。

ゲノム編集ティラピアが日本で届出された

ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領に基づき届出された食品及び添加物一覧
消費者庁 2025年4月25日
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/bio/genome_edited_food/list
消費者庁へ新たなゲノム編集技術応用食品の届出。4/25にリージョナルフィッシュ株式会社が、ミオスタチン遺伝子の機能欠損(13塩基欠失)によって可食部を増量したナイルティラピアを届出。オフターゲット候補配列に変異がないことを確認した。上市は未定とのこと。

mRNAワクチンの改良に向けたCRISPRスクリーニング

Exogenous RNA surveillance by proton-sensing TRIM25
Kim et al., Science. 2025 Apr 4;388(6742):eads4539.
https://doi.org/10.1126/science.ads4539
mRNAワクチンは、細胞内でどのように送達、処理、分解されるか?ゲノムワイドCRISPRスクリーニングを用いて、脂質ナノ粒子に封入されたmRNAを制御する細胞内経路をマッピング。HSPG、V-ATPase、TRIM25を、LNP-mRNAの送達と安定性を制御する因子として同定した。Science誌。

核局在化シグナルを変えることで微細藻類でのゲノム編集効率が改善

Cas9-mediated gene-editing frequency in microalgae is doubled by harnessing the interaction between importin α and phytopathogenic NLSs
Le et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2025 Mar 11;122(10):e2415072122.
https://doi.org/10.1073/pnas.2415072122
微細藻類でのCRISPR-Cas9システムによる遺伝子編集の頻度を高めるため、アグロバクテリウム由来の核局在化シグナルを利用。VirD2 NLSをCas9に融合させてヌクレアーゼをより核へアクセスしやすくさせることで、クラミドモナスでの変異頻度は従来の2倍以上になった。PNAS誌。

微生物の防御システムは人類に恩恵をもたらす

The hunt for the next CRISPR: how warring microbes are inspiring new technology
Dance et al., Nature. 2025 Apr;640(8058):306-308.
https://doi.org/10.1038/d41586-025-01065-4
微生物の防御システムの研究は、次にどんな大きなブレークスルーをもたらすか?細菌・古細菌とファージとの数十億年にもわたる絶え間ない生存競争は、多様な免疫機構や対抗防御を生み出しており、遺伝子編集や遺伝子治療のための「金鉱」となる。Nature誌のニュース記事。

Ten1遺伝子を欠損させたマウスでは老化が促進される

Loss of Ten1 in mice induces telomere shortening and models human dyskeratosis congenita
Sanz-Moreno et al., Sci Adv. 2025 Apr 11;11(15):eadp8093.
https://doi.org/10.1126/sciadv.adp8093
テロメア維持に関与するCST複合体における役割を調べるため、CRISPR-Cas9ゲノム編集を使って、Ten1遺伝子のエクソン3を欠損させたノックアウトマウスを作製。表現型を調べることで、Ten1欠損がテロメア短縮と老化の促進に関連することが示唆された。Science Advances誌。

鳥由来のレトロトランスポゾンで遺伝子を置き換える

Reprogramming site-specific retrotransposon activity to new DNA sites
Fell et al., Nature. 2025 Apr 9 (Online ahead of print).
https://doi.org/10.1038/s41586-025-08877-4
レトロトランスポゾンとCas9ニッカ―ゼを組み合わせた”scarless insertion”システム「STITCHR」。キンカチョウ由来の新規部位特異的レトロトランスポゾンを利用し、遺伝子の大きな断片、あるいは遺伝子全体を特定部位に挿入し、欠陥のある遺伝子を置き換える。Nature誌。

遺伝子編集ブタの肝臓は患者の体内で正常に機能していた

Gene-modified pig-to-human liver xenotransplantation
Tao et al., Nature. 2025 Mar 26 (Online ahead of print).
https://doi.org/10.1038/s41586-025-08799-1
6遺伝子編集ブタ肝臓のヒト脳死患者への異種移植の報告。移植された肝臓片は、胆汁やブタ肝臓由来アルブミンの生成など、患者の体内で10日間にわたって正常に機能している兆候を示した。ヒト肝臓が移植できるようになるまでの「橋渡し臓器」への利用に期待。Nature誌。

点変異ゲノム編集でトゥレット症候群のモデルマウスを作製

WWC1 mutation drives dopamine dysregulation and synaptic imbalance in Tourette’s syndrome
Lv et al., Sci Adv. 2025 Mar 28;11(13):eadr4588.
https://doi.org/10.1126/sciadv.adr4588
CRISPR-Cas9ゲノム編集でWWC1遺伝子にW88C変異を導入し、トゥレット症候群のモデルマウスを作製。反復運動行動、感覚ゲーティング不全、ドーパミンシグナル伝達異常など、ヒト患者に見られるものと同様の行動障害を示し、貴重なマウスモデルとなる。Science Advances誌。

ウマが驚異的な持久力をもつための突然変異

Running a genetic stop sign accelerates oxygen metabolism and energy production in horses
Castiglione et al., Science. 2025 Mar 28;387(6741):eadr8589.
https://doi.org/10.1126/science.adr8589
ウマがなぜ並外れた持久力も持つか、重要な突然変異を特定。ウマ属の共通祖先で、ROS応答型の転写制御システムで機能するKEAP1遺伝子に入った終止コドン点変異の再コード化が、好気性エネルギー生成を強化しつつ酸化ストレスを軽減することを可能にした。Science誌。

Shank3遺伝子を欠損したイヌは顔を上手く認識できない

Autism-like atypical face processing in Shank3 mutant dogs
Yuan et al., Sci Adv. 2025 Apr 4;11(14):eadu3793.
https://doi.org/10.1126/sciadv.adu3793
CRISPR-Casゲノム編集でShank3遺伝子にフレームシフト変異を導入したビーグル犬は、人間のASD患者に見られるのと同様の顔認識異常を示した。側頭皮質上の電極から記録された顔に対する神経応答も、野生型から大幅に減少し遅延していた。Science Advances誌。

GWASの大規模メタ解析でイネの穀粒を長くする遺伝子を特定

GWAS meta-analysis using a graph-based pan-genome enhanced gene mining efficiency for agronomic traits in rice
Yang et al., Nat Commun. 2025 Apr 3;16(1):3171.
https://doi.org/10.1038/s41467-025-58081-1
イネにおける6つの独立したGWASの大規模メタ分析で、穀物の幅と長さを制御する新しいQTLを特定。この遺伝子座にある候補遺伝子について、CRISPR-Cas9ゲノム編集でノックアウト変異体を作製したところ、野生型に対して穀粒長が顕著に増加していた。Nature Communications誌。

CRISPR技術を用いてどの転写因子が細胞の発達に重要かを探る

Transcription factor networks disproportionately enrich for heritability of blood cell phenotypes
Martin-Rufino et al., Science. 2025 Apr 4;388(6742):52-59.
https://doi.org/10.1126/science.ads7951
CRISPRを用いて主要な転写因子を破壊したうえで、個々の造血細胞におけるクロマチンアクセシビリティと遺伝子活性の変化を解析する「Perturb-multiome」。これを使って、血液細胞の発達に強く影響する重要な転写因子とそれらをコードするDNA領域を特定できた。Science誌。

網羅的なCRISPRiでパーキンソン病関連遺伝子を同定

Commander complex regulates lysosomal function and is implicated in Parkinson’s disease risk
Minakaki et al., Science. 2025 Apr 11;388(6743):204-211.
https://doi.org/10.1126/science.adq6650
GBA1遺伝子の病原性変異を持っていても、パーキンソン病を発症しない人もいるのはなぜか?CRISPR干渉によってヒトゲノム中のすべての遺伝子を体系的にスクリーニングし、パーキンソン病の発症リスクに影響を与える新たな遺伝子および関連複合体を同定した。Science誌。

CRISPR-Cas9ゲノム編集で赤色蛍光を示すクモの糸を生成

Spider Eye Development Editing and Silk Fiber Engineering Using CRISPR-Cas
Rivera et al., Angew Chem Int Ed Engl. 2025 Apr 13:e202502068.
https://doi.org/10.1002/anie.202502068
オオヒメグモのCRISPR-Cas9ゲノム編集プロトコルを確立。メスグモの腹部にCas9:gRNAを含む溶液をマイクロインジェクションすることで、子グモでのノックアウト及びノックイン変異を達成。mRFPによる赤色蛍光を発するクモの糸を作出できた。Angewandte Chemie誌。

オートファジー誘導条件ではHDRゲノム編集の効率が上昇する

Autophagy induction enhances homologous recombination-associated CRISPR–Cas9 gene editing
Nam et al., Nucleic Acids Res. 2025 Apr 10;53(7):gkaf258.
https://doi.org/10.1093/nar/gkaf258
栄養欠乏や化学処理によるオートファジー誘導条件では、細胞は相同組換え(HR)によるDNA修復メカニズムを優先させる。ノックインや点変異の導入などHRによるゲノム編集の効率を高める条件を見つけることで、生体内での遺伝子治療に貢献する。Nucleic Acids Research誌。

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