2024年1月のX(Twitter)紹介ゲノム編集論文&ニュース

株式会社セツロテックのX(Twitter)アカウントでは、ゲノム編集に関する論文やニュースを、弊社メンバーが独断と偏見でピックアップしてつぶやいています。弊社の提供するサービスとは直接関係ない情報も含め、幅広くお届けしております。ゲノム編集技術の社会実装を目指す大学発ベンチャーとして、皆さんの新技術への理解増進の一助になれば幸いです。ぜひ、フォローを!ここでは、2024年1月のポストで紹介した内容を再編成して掲載いたします。なお、本記事の内容は、発表された論文やニュースの内容を紹介するものであり、会社としての正式な見解では無く、担当者個人の理解によるものです。

1. アフリカ大陸ならではの新たなCRISPRゲノム編集作物の胎動

CRISPR-edited crops break new ground in Africa
Ledford, Nature. 2024 Feb;626(7998):245-246.
https://doi.org/10.1038/d41586-024-00176-8
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アフリカ大陸で、CRISPRゲノム編集作物が新たな地平を切り開く。寄生植物のストライガに耐性のあるソルガムや、致死性壊死症に耐性のあるトウモロコシ、カビに感染しにくい落花生などの取り組みが進む。Nature誌のニュース記事。

2. ゲノム編集技術で「白い」ムラサキウニを作る

CRISPR-Cas9-Mediated Gene Knockout in a Non-Model Sea Urchin, Heliocidaris crassispina
Sakamoto et al., Zoological Science. 2023 Dec 27; 41(2)
https://doi.org/10.2108/zs230052
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いわゆる「白うに」として生殖腺を食用にするムラサキウニそのものを、ゲノム編集技術で本当に白くする。色素沈着に関連するPks1遺伝子をノックアウトし、アルビノ個体を得た。広島大学チーム。Zoological Science誌。

3. PGCゲノム編集によるドードー「復活」プロジェクト(CNN)

絶滅した飛べない鳥「ドードー」、再生プロジェクトの期待と課題
CNN 2024年1月3日
https://doi.org/10.7717/peerj.16596
https://www.cnn.co.jp/fringe/35213248.html
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解読が完了したドードーのゲノムをお手本に、近縁種であるニコバルバトの始原生殖細胞(PGC)をゲノム編集して、ドードー(の身体的特徴)を「復活」させようというプロジェクト。不妊のレシピエントニワトリにゲノム編集PGCを移植し、PGCから分化した精子と卵子を使って交配させる計画。果たして。

4. 食と科学技術のシリーズ記事:ゲノム編集による品種開発(朝日新聞)

狙って作る新品種 広がるゲノム編集食品、消費者は8割「知らない」
朝日新聞 2024年1月7日
https://www.asahi.com/articles/ASS145FSTRDWUTFL00X.html
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5. 中国のゲノム編集作物の安全性評価ガイドライン

China’s regulatory change toward genome-edited crops
Yang et al., Trends Biotechnol. 2023 Dec 30:S0167-7799(23)00347-5.
https://doi.org/10.1016/j.tibtech.2023.12.008
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中国のゲノム編集作物の安全性評価ガイドラインについての議論。筆者らは「GEd規制は、単なる形式主義を超越して(中略)社会的便益を促進するための科学的なコミュニケーションのプロセスを通じて推進されるべきである」と主張する。Trends in Biotechnology誌。

6. ゲノム編集技術でまだ農業に利用されていない野生種の植物を飼いならす

How CRISPR could yield the next blockbuster crop
Marshall, Nature. 2024 Jan;625(7994):230-232.
https://doi.org/10.1038/d41586-024-00015-w
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まだ農業に利用されていない野生種の植物を、ゲノム編集技術によって有用な品種に「家畜化」する “de novo domestication” についてのニュース記事。技術的な課題の解説とともに、もともとの種を育てていた先住民族が持つ「権利」についても考慮を促す。Nature誌。

7. ニキビ菌が育ちにくい環境にするニキビ菌を作り出す

Delivery of a sebum modulator by an engineered skin microbe in mice
Knödlseder et al., Nat Biotechnol. 2024 Jan 9 (Online ahead of print)
https://doi.org/10.1038/s41587-023-02072-4
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アクネ菌をゲノム編集して、皮膚の皮脂の量を調節するNGALタンパク質(ニキビ治療薬のメディエーター)を分泌・産生できるように。これをマウス皮膚に移植すると皮脂の分泌を抑えた(=ニキビの原因となるアクネ菌自身が増殖しにくい環境に変化)。Nature Biotechnology誌。

8. ゲノム編集ブタの肝臓を脳死状態の肝不全患者に体外接続

脳死患者につないだブタの肝臓が3日間機能、ゲノム編集が示した新たな治療の可能性
WIRED 2024年1月23日
https://wired.jp/article/gene-edited-liver-attached-to-person/
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