メールマガジン:ゲノム編集論文㉓

セツロテックでは、月に一度、最新のゲノム編集に関する情報をお届けするメールマガジンを配信しています。今回の記事では、メールマガジンの人気コーナー「最近のピックアップ論文」から厳選した内容をご紹介します。
配信号:2026年3月
1. マウス生体内での塩基編集で神経発達障害が改善
Snijders Blok-Campeau症候群(SNIBCPS)は、知的障害、自閉症様行動、運動機能障害を呈し、有効な治療法が報告されていない遺伝疾患である。この疾患を研究するため、中国・上海交通大学医学院のYangらは、CRISPR-Cas9ゲノム編集技術で、患者に見られるChd3遺伝子の反復変異p.R1025Wを持ち、SNIBCPS様の症状を示すヒト化マウスモデルを作製した(変異を含む34 bpのヒト化配列をマウス遺伝子座にノックイン)。続いて、静脈内注射によるデュアルAAVシステムで脳にアデニンベースエディターを送達し、皮質および海馬領域で病原性アレルを修正すると、生体内でのCHD3レベルが回復し、行動異常が改善されることを確認した。低侵襲性の全身投与による精密な生体内遺伝子修復が分子レベルでも行動特性でも有効であったことは、臨床的可能性を強調するものである。(事業開発部T)
2. 改変大腸菌による腫瘍内ロミデプシン産生が、細菌媒介型がん治療の効果を高める
「薬を運ぶ」のではなく、「その場で作る」—そんな発想を実証した研究が報告された。腫瘍に選択的に集積する性質を持つ大腸菌Nissle 1917に、抗がん剤ロミデプシンの生合成遺伝子群を導入し、腫瘍局所で薬剤を産生させる新たながん治療戦略である。改変菌は腫瘍内で安定に増殖し、薬剤を現地で持続的に供給することで、従来の全身投与と比較して抗腫瘍効果を有意に向上させた。さらに、全身曝露を抑えることで副作用を軽減し、心毒性や死亡率の低下も確認された。本研究は、空間的に制御された薬剤産生という概念を提示し、合成生物学と微生物療法の融合による次世代がん治療の可能性を示す画期的な成果であり、今後の臨床応用が期待される。(共創推進部U)
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