セツロテック技術顧問の宮脇慎吾先生らによる、マウスで真の性決定因子SRY-Tを発見した研究が、Science誌に掲載されました。複数の実験でGEEP法が貢献!

今回、私達の論文がサイエンス誌に掲載されました。マウスの性決定遺伝子Sryにこれまで見つかっていなかったエキソンを発見し、そのエキソンが作るSRY-Tタンパク質がマウスで性決定因子として働いていることを示した論文です。この論文を作るために、掲載された論文の図1でSRY-TにFLAGタグ配列をノックインしたマウス(①)、図2で発見したエキソンのノックアウトマウス(②)、図3でSRY-Tの発現マウス、図4で1アミノ酸置換マウス(③)をはじめとした複数系統のレスキュー実験と、全ての実験でGEEP法を使って遺伝子改変マウスを作製することで証明をしました。


FLAGタグのノックインマウス(図①)、エキソンのノックアウトマウス(図②)、1アミノ酸置換マウス(図③)

マウスSry遺伝子のゲノム配列は特殊な構造をとっており、従来のES細胞を介して相同組み替えを使った遺伝子改変マウス作製法では、実験が困難でした。また、様々なアプリケーションに対応可能なGEEP法は今回の論文を作るにあたってとても有用でした。GEEP法の貢献は非常に大きかったと感じます。私が徳島大に在籍していた際に、竹本さんにGEEP法の方法やコツを伝授して頂いて本当にありがたかったです。今後も、GEEP法を使った実験で、研究を展開していきたいと考えております。

参考文献

The mouse Sry locus harbors a cryptic exon that is essential for male sex determination Miyawaki et al., Science 2020 Oct 2. 370(6512):121-124.

宮脇 慎吾 先生 大阪大学生命機能研究科エピゲノムダイナミクス研究室(立花誠教授)(現在:岐阜大学応用生物科学部共同獣医学科)
研究テーマ:動物の遺伝性疾患の病態、分子生物学的解析