メールマガジン:ゲノム編集論文⑫

セツロテックでは、月に一度、最新のゲノム編集に関する情報をお届けするメールマガジンを配信しています。今回の記事では、メールマガジンの人気コーナー「最近のピックアップ論文」から厳選した内容をご紹介します。
配信号:2025年4月
点変異ゲノム編集でトゥレット症候群のモデルマウスを作製
WWC1 mutation drives dopamine dysregulation and synaptic imbalance in Tourette’s syndrome
Lv et al., Sci Adv. 2025 Mar 28;11(13):eadr4588.
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adr4588
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運動チックと音声チックを特徴とするトゥレット症候群の患者では、全エクソームシーケンスによって、WWC1遺伝子の3番目のエクソンにW88C変異があることが知られている。発症機序の理解のため、華中科技大学のLvらは、マウスWWC1遺伝子にCRISPR-Cas9ゲノム編集でW88C変異(G264T)を導入し、様々なテストによる行動型の評価を行った。W88Cホモ接合型マウスでは、穴掘り行動やグルーミング行動などの反復運動行動が著しく亢進され、またプレパルス抑制試験では感覚運動ゲーティングが顕著に低下していた。また、W88C変異は、WWC1遺伝子がコードするKibraタンパク質のユビキチン化と分解を促進しており、Hippo経路の過剰活性化と背側線条体におけるドーパミン放出の増加につながっていた。ヒト患者に見られるものと同様の行動障害を示し、貴重なマウスモデルとなる。(事業開発部T)
2. CRISPR-Cas9ゲノム編集で赤色蛍光を示すクモの糸を生成
Spider Eye Development Editing and Silk Fiber Engineering Using CRISPR-Cas
Rivera et al., Angew Chem Int Ed Engl. 2025 Apr 13:e202502068.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.202502068
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CRISPR-Cas9によるクモのゲノム編集に初めて成功。バイロイト大学のRiveraらは、CO2で麻酔したオオヒメグモのメスの腹部に、Cas9とgRNAを含む溶液をマイクロインジェクションすることで、その子孫にノックアウト及びノックイン変異を導入した。個体(卵嚢)あたりの変異頻度は低かったが、sine oculis遺伝子のノックアウト変異体では、眼の発達が阻害され、眼構造の全部または一部が欠損していることが観察された。また、牽引糸を構成するクモ糸タンパク質(スピドロイン)をコードするmasp2遺伝子を標的としたmRFPのノックインゲノム編集では、変異体が生成するクモの糸が赤色蛍光を示すことを確認できた。クモにおけるCRISPRベースのゲノム編集プロトコルを確立できたことで、クモ糸に材料科学的な新たな機能を追加することは、決して「雲をつかむような話」ではなくなる。(事業開発部T)
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