メールマガジン:ゲノム編集論文⑯

セツロテックでは、月に一度、最新のゲノム編集に関する情報をお届けするメールマガジンを配信しています。今回の記事では、メールマガジンの人気コーナー「最近のピックアップ論文」から厳選した内容をご紹介します。
配信号:2025年8月
レゴブロックで作ったゲノム編集細胞作製自律型ロボットシステム
分子生物学的な試験や遺伝子編集技術を全自動で実施してくれる装置は存在するが、維持費も含めてかなりの高額である。トルコのユスキュダル大学のErkekらは、実験に必要な精度とプログラミング性を満たし、かつ手頃な価格で設置が容易なシステムとして、レゴマインドストームを使ったゲノム編集細胞作製の自律型ロボットシステム「CRISPR.BOT」を開発した。CRISPR.BOTは、レールシステムとピペットを使ったマイクロプレート上でのマイクロリットル量の液体処理が可能であり、プログラミング次第で、細菌の形質転換、レンチウイルスを用いたヒト細胞への遺伝子導入、ヒト細胞でのCRISPRゲノム編集、遺伝子改変細胞のシングルセルサブクローニングが可能であることを実証した。1,000ドル程度と既存の自動化装置との比較で最大10倍のコスト削減が実現できている。DIYの精神が遺伝子改変を加速させる。(事業開発部T)
コドン多様性にバイアスを加え、AAV産生における組換えを防ぎ、FRETの生体内発現を保証する
アデノ随伴ウイルス(AAV)は遺伝子導入の有力な手段だが、FRETセンサーのように相同性の高い配列を含む遺伝子では、製造過程で組換えが生じ機能が失われやすいという問題があった。本研究は、この課題をコドンの多様化によって解決している。アミノ酸配列を保ったまま、宿主での使用頻度に基づきコドンを選択する”ABCD法”を導入することで、DNA配列の相同性を下げつつ翻訳効率を維持することに成功した。その結果、AAV製造過程での組換えを抑制し、マウス脳内におけるFRETセンサーの安定かつ機能的な発現を実証した。シンプルでありながら汎用性の高い解法として、今後の生体内イメージングや遺伝子操作研究に大きな影響を与える可能性を示す成果である。(共創推進部U)
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