Sprague-Dawley
Sprague-Dawley(スプレーグドーリー)ラットは、俗名SDラットと呼ばれ、実験動物として広く利用されるラットの系統の一つです。この系統は、特に生命科学の研究でその遺伝的一貫性、温和な性格、繁殖のしやすさから好まれています。
起源と特徴
- 起源: Sprague-Dawley(以下、SDラット)ラットは、1925年にアメリカの研究者ドーリーによって開発されました。彼らは大型のHoodedラットとWistar系統を起源とするアルビノのメスラットを交配させることで、この新しい系統を作り出しました。
- 特徴: SDラットは、体が大きく、温和な性格を持っています。アルビノ種であるため、白い毛皮と赤い目を持つのが特徴です。また、繁殖力が高く、実験動物としての飼育管理が比較的容易です。
研究での利用
- 汎用系統: SDラットは、その遺伝的均一性と扱いやすさから、安全性試験、薬理学、毒性学、生化学、栄養学、神経科学など、幅広い研究分野で利用されています。
- 疾患モデル: このラット系統は、糖尿病、がん、心血管疾患、精神神経学的障害など、多くの人間の疾患モデルの研究に使用されます。特定の条件下で、これらのラットを用いて疾患のメカニズムや治療法の開発が進められています。
利点と制限
- 利点: SDラットは、比較的大きな体サイズと高い繁殖率を持ち、実験に必要な個体数を確保しやすいことが大きな利点です。また、幅広い研究分野での利用実績があり、豊富な背景データが存在します。
- 制限: 一方で、すべての系統に共通する問題として、特定の研究目的においては、より特化した系統や遺伝的に改変されたモデルが必要になる場合があります。また、アルビノ種であることによる視覚的な制限も考慮する必要があります。
Sprague-Dawleyラットは、生命科学研究において重要な役割を果たしており、その柔軟性と信頼性により、今後も広く利用され続けることが予想されます。研究者は、この系統を選択する際には、研究目的に最適なモデルかどうかを慎重に検討する必要があります。