点変異
点変異は、DNAまたはRNAの塩基配列中で一つのヌクレオチドが別のヌクレオチドに置き換えられる遺伝子の変異です。この種類の変異は、遺伝情報の最小単位である単一の塩基が変更されることにより生じます。
点変異の種類
- 置換変異: DNAやRNAの塩基配列において、一つのヌクレオチドが別のヌクレオチドに置換される変異。例えば、アデニン(A)がグアニン(G)に置き換わる場合などがあります。
- 挿入変異: 一つ以上のヌクレオチドがDNA配列に追加される変異。
- 欠失変異: 一つ以上のヌクレオチドがDNA配列から欠落する変異。
フレームシフト変異
- 定義: 挿入変異や欠失変異が発生すると、それ以降のDNAやRNA上のコドンの読み枠が変更される場合があります。この読み枠の変更によって、タンパク質のアミノ酸配列が大きく変わり、機能不全のタンパク質が生成されることがあります。
- 影響: フレームシフト変異は、合成されるタンパク質の構造と機能に深刻な影響を及ぼす可能性があります。変異によっては、本来の読み枠よりも手前にストップコドンが現れ、タンパク質の合成が途中で終了してしまうこともあります。
点変異の生物学的意義
- 多様性の源: 点変異は、生物の遺伝的多様性の主要な源の一つです。多くの場合、これらの変異は無害であるか、または生物に有益な新たな遺伝的特性をもたらします。
- 疾患の原因: 一方で、特定の点変異は遺伝性疾患の原因となることがあります。例えば、鎌状赤血球症はヘモグロビンβ鎖の特定のアミノ酸が変化する点変異によって引き起こされます。
- 研究ツールとしての利用: 点変異は、遺伝子の機能を研究するための重要なツールです。特定の遺伝子に意図的に点変異を導入することで、その遺伝子の機能やタンパク質の役割を解析することができます。