Indel
Indel(インサーションとデリーションの短縮形)は、ゲノム上で観察される一種の遺伝子変異で、ゲノムへの塩基配列の挿入(insertion)または欠失(deletion)、あるいはその両方を指します。この変異は、ゲノムの多様性と進化において重要な役割を果たし、遺伝子の機能に影響を与えることがあります。
Indelの特徴
- サイズ: Indelは、一塩基対から数千塩基対に及ぶ幅広いサイズがありますが、一般には1万塩基対以下の小規模な変異として分類されます。
- 発生原因: DNA複製の過程でのスリップ、DNA修復過程のエラー、などによって引き起こされることがあります。
Indelの影響
- フレームシフト突然変異: ゲノムのコーディング領域でのIndelは、特にその長さが3の倍数でない場合、フレームシフト突然変異を引き起こし、タンパク質のアミノ酸配列に大きな影響を与えます。
- 機能的影響: Indelによってタンパク質コーディング領域内で終止コドンが発生すると、タンパク質の翻訳が早期に終了し、機能しないまたは機能が変化したタンパク質が生成されることがあります。
- 遺伝的多様性: Indelは、種間および種内の遺伝的多様性を生み出す原因となり、進化の過程で重要な役割を果たします。
研究での利用
- 遺伝病の研究: 特定の疾患と関連するIndelの同定は、遺伝病の原因の理解や診断、治療戦略の開発に役立ちます。
- ゲノム編集技術: CRISPR-Cas9などのゲノム編集技術を使用すると、特定の遺伝子領域に意図的にIndelを導入し、遺伝子の機能を研究したり、遺伝病の治療を目指したりすることが可能です。