相同組換え

染色体の組換えは普通、相同性のあるDNAの間で行われる。これを相同組換えという。減数分裂の過程で染色体の乗換えに伴うのが普通であるが、体細胞分裂での乗換えに伴うものもある。相同組換えであっても、染色体の別の位置(染色体レベルでは相同でない)の間で組換えが起これば、座位の数が変化する。その範囲に遺伝子が含まれていれば、遺伝子の重複または欠失につながる。これを不等組換えといい、不等乗換えに当たる。これらの相同性があるDNA配列の間での組換え反応(相同組換え)を触媒するのは、組換え酵素(リコンビナーゼ)と呼ばれる酵素である。大腸菌を含む真性細菌においてはRecAと呼ばれるリコンビナーゼが相同組換えを介してDNA修復や外来DNAの取り込みに関与している。一般にリコンビナーゼは細胞にとって重大な障害であるDNAの二本鎖切断(DSBs)の修復に重要である。大腸菌においては電離放射線やDNA複製の失敗によってDNAの二重鎖が切断されると、RecBCDと呼ばれるヘリカーゼとヌクレアーゼの複合体によりその末端の認識・消化が行われ一本鎖DNAが生じる。

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