HL60 Human promyelocytic leukemia cells
HL-60細胞株は、急性前骨髄性白血病(APL: Acute Promyelocytic Leukemia)患者から分離されたヒト白血病細胞株です。この細胞株は、血液細胞の分化、がんの研究、薬剤のスクリーニングなど、多岐にわたる生物学的および医学的研究に広く用いられています。
HL-60細胞株の特徴
- 由来: HL-60細胞は、1977年に急性前骨髄性白血病の患者から初めて分離されました。その後、多くの研究室で広く使用されるようになり、白血病の研究における主要なモデル細胞となっています。
- 細胞の性質: HL-60細胞は浮遊細胞であり、特定の条件下では、好中球、単球、好酸球などの異なる種類の白血球へと分化する能力を持っています。
研究での利用
- 血液細胞の分化研究: HL-60細胞は、血液細胞の分化過程を研究するためのモデルとして使用されます。特定の化学物質や薬剤の添加によって、これらの細胞を特定の白血球の型へ分化させることができます。
- 薬剤感受性と抵抗性の研究: 白血病細胞に対する薬剤の効果を評価したり、抗がん剤の新たなターゲットを同定するためにも使用されます。
- シグナル伝達の研究: HL-60細胞は、細胞のシグナル伝達経路の研究、特にアポトーシス(細胞死)、細胞周期制御、分化誘導に関わる因子の解析に利用されます。