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次世代ゲノム編集を拓く―多様なCas9オルソログが示す革新的可能性についての論文紹介

2025.04.02

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本コラムでは、世界中の農業・畜産・微生物の「ゲノム編集」に関する情報やニュースをピックアップして、その内容をご紹介します。弊社の提供するサービスとは直接関係ない情報も含め、幅広くお届けします。なお、本記事の内容は、発表された論文やニュースの内容を紹介するものであり、ChatGPTとperplexity AIを利用して作成しました。
今回は、2025/03/01 ~ 2025/03/15前後の公開記事からのピックアップです。

ピックアップ論文:Characterization of diverse Cas9 orthologs for genome and epigenome editing

近年、CRISPR‐Casシステムは分子生物学や遺伝子治療の分野において革命的な進展をもたらし、従来のSpyCas9に依存していた編集技術に新たな局面を迎えています。
今回の研究では、ストレプトコッカス属を中心とする多様なCas9オルソログの網羅的解析を行い、その実用性を裏付ける実験的検証を通じて、今後の応用可能性と展望が示されました。

背景―CRISPR技術の発展と現状

CRISPR‐Casシステムは、細菌由来の自然免疫機構を応用した画期的な遺伝子編集ツールとして、ここ10年で急速に発展しました。従来のSpyCas9は高い効率性と再プログラム性により多くの実験系で採用されましたが、ターゲット領域の選択性やPAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)の制約といった技術的課題も指摘されています。こうした背景から、より柔軟で安全な編集技術を実現するためには、多様な細菌由来のCas9オルソログの探索とその実用化が求められています。本研究は、これらの課題を克服し、新たなゲノム編集ツールの開発に貢献するものです。

研究概要―多様なCas9オルソログの発見と検証

本研究では、食品や農業分野で広く利用される非病原性細菌に着目し、バイオインフォマティクス手法を用いて約47種類のCas9オルソログを網羅的に抽出しました。各候補について、ヒト細胞での発現最適化を行い、dCas9(核酸切断活性を持たない変異体)にKRABやp300といった機能性ドメインを融合させ、転写抑制および活性化といったエピゲノム編集の効果を評価しました。
特に、Streptococcus uberis 由来のCas9は、従来のベンチマークと比較しても遜色なく、むしろ高い編集効率を示しました。このことから、実用性の面で極めて有望な候補として浮上しました。

Cas9オルソログの多様性とその特徴

解析対象となった各Cas9オルソログは、タンパク質の分子量や立体構造、さらには認識するPAM配列の多様性において従来のSpyCas9とは異なる特徴を示しました。各オルソログは独自のPAM認識特性を持つため、ゲノム中の従来アクセスが難しかった領域に対しても効果的なターゲット指定が可能となりました。さらに、AlphaFoldなどの構造予測ツールによる解析からは、低い配列同一性にもかかわらず基本的な立体構造が保持され、機能面での信頼性が確認されました。これにより、従来の編集システムでは実現困難であった多重編集や狭いターゲット領域の精密制御が可能となると考えられます。

エピゲノム編集への応用―拡がる治療的可能性

dCas9を用いたエピゲノム編集は、DNA切断に依存しない遺伝子発現制御を実現する新たなアプローチです。研究では、dCas9に転写抑制因子(KRAB)やヒストンアセチルトランスフェラーゼ(p300)の活性部位を融合し、特定の内因性遺伝子の発現調節を検証しました。具体的には、HBEやHBG1、さらにPCSK9といった臨床的意義の高い遺伝子に対して、精密な転写調節が確認され、将来的な遺伝子治療への応用が期待される結果となっています。その結果、HBE、HBG1、およびPCSK9といった臨床的に重要な遺伝子に対し、精密な転写調節が可能であることが確認されました。これにより、従来のCas9によるDNA二本鎖切断のリスクを回避しつつ、高精度な遺伝子制御が可能となり、オフターゲット効果の低減にも寄与することが期待されます。

今後の展望―より安全で柔軟なゲノム編集ツールへ

新たに発見されたCas9オルソログの中には、コンパクトなサイズを持つものが多く、AAV(アデノ随伴ウイルス)を用いた遺伝子導入が容易である点も大きな利点です。加えて、従来のCas9に対する免疫応答のリスクを低減できる可能性も示唆され、臨床応用における安全性の向上が期待されます。
今後は、さらなる機能最適化に加え、広範な細胞種や動物モデルでの検証が求められます。次世代ゲノム編集ツールの確立に向け、本研究の成果は基礎科学のみならず、遺伝子治療、再生医療、さらには農業分野での作物改良など、多岐にわたる応用が見込まれる重要な一歩といえるでしょう。

まとめ
本研究は、多様なCas9オルソログの探索と機能解析を通じ、従来のCRISPRツールが抱えていた技術的制約を克服する新たな可能性を示しました。特に、Streptococcus uberis由来のCas9は、その高い編集効率と柔軟なターゲット認識により、ゲノム編集およびエピゲノム修飾の両面で大きな進展をもたらすことが明らかとなりました。今後、さらなる最適化や臨床応用に向けた検証が進む中で、本研究の知見は、次世代の安全で柔軟なゲノム編集ツールの開発に大いに寄与すると期待されます。

参考文献

Butterfield, G. L. et al. Characterization of diverse Cas9 orthologs for genome and epigenome editing. PNAS 122, e2417674122 (2025).