
本コラムでは、世界中の農業・畜産・微生物の「ゲノム編集」に関する情報やニュースをピックアップして、その内容をご紹介します。弊社の提供するサービスとは直接関係ない情報も含め、幅広くお届けします。なお、本記事の内容は、発表された論文やニュースの内容を紹介するものであり、ChatGPTとperplexity AIを利用して作成しました。今回は、2025/01/15 ~ 2025/01/31前後の公開記事からのピックアップです。
ピックアップ論文:Generation of IgM+ B cell-deficient Atlantic salmon (Salmo salar) by CRISPR/Cas9-mediated IgM knockout
ノルウェーの研究チームが、CRISPR/Cas9技術を用いてタイセイヨウサケの主要な抗体であるIgM(免疫グロブリンM)をノックアウトすることに成功しました。この画期的な研究は、魚類の免疫システムの理解を深め、水産養殖におけるワクチン開発に新たな道を開く可能性があります。研究チームは、IgM遺伝子の2つの座位(A座位とB座位)を標的とし、高効率で変異を導入しました。その結果、末梢血中のIgM陽性B細胞が約78%減少し、血清中のIgMタンパク質レベルも低下しました。
ノルウェー海洋研究所の研究チームは、タイセイヨウサケ(Salmo salar)の免疫システムをより深く理解し、効果的なワクチン開発につなげるため、CRISPR/Cas9技術を用いてIgM遺伝子のノックアウトを試みました。IgMは魚類の主要な抗体であり、全身性および粘膜性の免疫応答において中心的な役割を果たしています。
研究チームは、CRISPR/Cas9システムを用いてIgM遺伝子のA座位とB座位を標的としました。具体的には、IgM重鎖のμ1エクソンを標的とするガイドRNA(gRNA)を設計し、Cas9 mRNAと共に受精卵に注入しました。また、可視的なマーカーとして色素遺伝子slc45a2も同時にノックアウトし、アルビノまたはモザイク状の表現型を持つ個体を選別しました。
・高スループットシーケンシングにより、IgM遺伝子のA座位で98%、B座位で97%の高い変異導入効率が確認されました。
・変異の約80%がフレームシフト変異でした。
・頭腎と脾臓において、膜結合型IgM(mIgM)のmRNA発現が有意に低下しました。
・分泌型IgM(sIgM)のmRNA発現は、個体によってばらつきがありました。
・興味深いことに、IgTのmRNA発現量が増加していました。
・フローサイトメトリー解析により、末梢血中のIgM陽性B細胞が対照群の10.2%から2.3%に減少(約78%の減少)しました。
・ウェスタンブロット分析では、血清中のIgMタンパク質レベルの低下が確認されました。
この研究は、タイセイヨウサケにおいて初めて免疫関連遺伝子のノックアウトに成功した例であり、魚類の免疫システム研究に新たな道を開きました。IgM欠損サケは、B細胞や抗体の役割を詳細に調べるための強力なモデルとなる可能性があります。
しかし、完全なIgMノックアウトを達成するには課題も残されています。サケのゲノムには2つのIgM遺伝子座位があるため、両方の座位を十分に変異させる必要があります。また、F0世代ではモザイク状態が生じやすいため、今後はF1世代でのホモ接合体の作出が望まれます。
この研究成果は、魚類の免疫システムの理解を深めるだけでなく、水産養殖における疾病対策やワクチン開発に大きな影響を与える可能性があります。IgM欠損サケを用いた研究により、より効果的なワクチンの開発や、魚類の健康管理技術の向上が期待されます。CRISPR/Cas9技術の水産分野への応用は、持続可能な養殖業の実現に向けた重要な一歩となるでしょう。今後は、IgMノックアウトサケを用いた感染実験やワクチン効果の検証など、さらなる研究の展開が期待されます。