2026年6月のX紹介精密育種・ゲノム編集論文&ニュース

株式会社セツロテックのX(旧Twitter)アカウントでは、精密育種やゲノム編集技術に関する論文やニュースを、弊社メンバーが独断と偏見でピックアップしてつぶやいています。弊社の提供するサービスとは直接関係ない情報も含め、幅広くお届けしております。精密育種技術の社会実装を目指す大学発ベンチャーとして、皆さんの新技術への理解増進の一助になれば幸いです。ぜひ、フォローを!ここでは、2026年6月のポストで紹介した内容を再編成して掲載いたします。なお、本記事の内容は、発表された論文やニュースの内容を紹介するものであり、会社としての正式な見解では無く、担当者個人の理解によるものです。

同じ遺伝子でもヒト胚とマウス胚で機能が異なる

Base editing reveals an essential role for NANOG in human embryogenesis, Bower et al., Nature. 2026 Jun 25 (Online ahead of print).
マウス胚と異なり、NANOGはヒト胚での卵黄嚢の形成に必須ではないことが示された。エキソンのスプライシングドナー部位を標的にABEで塩基編集し、NANOGを機能的にノックアウト。動物モデルに頼るのではなく、ヒト胚を研究することの重要性を浮き彫りにする報告。Nature誌。

ノックアウトマウスのライブラリを作製する

A CRISPR knockout mouse library for functional genomics in influenza research, Ueki et al., Cell. 2026 Jun 16:S0092-8674(26)00591-X (Online ahead of print).
in vivoインフルエンザ研究のための、CRISPR-Cas9で遺伝子改変した84系統もの大規模マウスライブラリの報告。生体レベルでの網羅的なスクリーニング解析が可能になったことで、ノックアウトによってウイルス感染に対する抵抗性を付与する17の宿主因子を特定できた。Cell誌。

トマトの複数栄養素を精密育種で強化する

Multiplex gene editing enables the multibiofortification of essential vitamins and other health-promoting phytonutrients in tomato, Hong et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2026 Jun 2;123(22):e2603937123.
CRISPR-Cas9多重遺伝子編集による、7種類もの多栄養素強化トマトの報告。作出したホモ接合型の五重変異トマトでは、β-カロテン、ビタミンD3、ビタミンC、リコピン、α-カロテン、ルテイン、GABAが同時に増加していた。Proceedings of the National Academy of Sciences誌。

ヒト胚での塩基編集後、胚盤胞期までの正常な発生に成功

Precise genome editing of human embryos triggers praise and alarm, Basu et al., Nature. 2026 Jun;654(8119):577-578.
ヒト胚でのABEによる塩基編集に初めて成功したことを報じるNature誌のニュース記事。まだプレプリントの段階だが、これによると受精時または前核期にRNPとして導入することで、ゲノムの特定の場所でのA-to-G変換を実現し、かつ胚盤胞期までの正常な発生に成功したとのこと。

多倍数体コムギの育種に活用できる多重遺伝子ノックアウト法

Multiplexed, precise genome engineering in monocots with twin prime editing systems, Li et al., Nat Biotechnol. 2026 Jun 5 (Online ahead of print).
ツインプライム編集を用いた単子葉植物での多重遺伝子ノックアウト「TKO」。標的遺伝子に終止コドンクラスターを含む小さな断片を正確に挿入し、フレームシフト変異を回避するかたちで機能破壊する。特に、多倍数体コムギの育種に貢献する可能性。Nature Biotechnology誌。

精密育種で鉢花に適した草姿に改変する

Engineering plant architecture in the ornamental species Eustoma grandiflorum by knockout of strigolactone biosynthesis, Yamaguchi et al., Plant Cell Rep. 2026 Jun 2;45(6):182.
CRISPR-Casシステムによる精密育種で、切り花によく使われていたトルコギキョウを、鉢花に適した草姿に改変(=矮化・多分枝)した報告。CCD8遺伝子欠損で、草丈が40%短縮、分枝数が4.5倍に増加し、鉢物や花壇花にはボリューム感がなかった点を解消。Plant Cell Reports誌。

干ばつになってもトウモロコシの収量を維持できるかも

A maize gene that coordinates flowering aids drought resistance, No authors listed, Nature. 2026 Jun 3 (Online ahead of print).
水分不足条件下での収量安定性を向上させたトウモロコシを、トレードオフなく精密育種するための有力な候補遺伝子を同定。SAUR72遺伝子は、干ばつ条件下で、雄花と雌花の開花同期性を維持するために機能していることが示された。Nature誌のRESEARCH BRIEFINGS記事。

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