2024年2月のX(Twitter)紹介ゲノム編集論文&ニュース

株式会社セツロテックのX(Twitter)アカウントでは、ゲノム編集に関する論文やニュースを、弊社メンバーが独断と偏見でピックアップしてつぶやいています。弊社の提供するサービスとは直接関係ない情報も含め、幅広くお届けしております。ゲノム編集技術の社会実装を目指す大学発ベンチャーとして、皆さんの新技術への理解増進の一助になれば幸いです。ぜひ、フォローを!ここでは、2024年2月のポストで紹介した内容を再編成して掲載いたします。なお、本記事の内容は、発表された論文やニュースの内容を紹介するものであり、会社としての正式な見解では無く、担当者個人の理解によるものです。

1. ヤギの卵巣動態の磁気共鳴イメージングによる評価

Ovarian dynamics in progesterone tablet-induced superovulation in goats assessed by magnetic resonance imaging
Hano et al., Anim Sci J. 2024 Jan-Dec;95(1):e13914.
https://doi.org/10.1111/asj.13914
セツロテックプレスリリース https://www.setsurotech.com/official/8971/
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岐阜大学の高須先生らとセツロテックの共同研究の成果が、Animal Science Journal誌に発表されました!ヤギの生殖工学技術に関する研究です!

2. 遺伝子改変されたヒト移植用臓器を持った子ブタが国内で初めて誕生

人間移植用の臓器持つブタ、国内初誕生 遺伝子改変、25年臨床研究
毎日新聞2024年2月13日
https://mainichi.jp/articles/20240212/k00/00m/040/075000c
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記事紹介ポストをリポストのみ。

3. ヌクレオソームをほどいてあげるとゲノム編集しやすくなる

Genome-wide ATAC-see screening identifies TFDP1 as a modulator of global chromatin accessibility
Ishii et al., Nat Genet. 2024 Feb 15 (Online ahead of print)
https://doi.org/10.1038/s41588-024-01658-1
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CRISPRスクリーニングによって、ヒストンタンパク質の転写制御に関わる転写因子TFDP1を同定。TFDP1の機能を阻害すると、ゲノム全体のアクセシビリティが上昇し、Cas9ゲノム編集の効率やiPS 細胞の作製効率が向上することを示した。Nature Genetics誌。

4. Cas12aヌクレアーゼを用いたミドリムシのゲノム編集

High-efficiency genome editing by Cas12a ribonucleoprotein complex in Euglena gracilis
Nomura et al., Microb Biotechnol. 2024 Feb;17(2):e14393.
https://doi.org/10.1111/1751-7915.14393
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Cas12a RNPを用いてユーグレナ(ミドリムシ)をゲノム編集。エレクトロポレーションで導入し、indel変異の導入や、ssODNを用いた点変異の導入に成功。ATリッチな領域もゲノム編集が可能に。理研&ユーグレナ社チーム。Microbial Biotechnology誌。

5. キノコ由来の遺伝子で「発光」するペチュニアが販売開始

Glow way! Bioluminescent houseplant hits US market for first time
Bourzac, Nature. 2024 Feb 9;626(701)
https://doi.org/10.1038/d41586-024-00383-3
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「光るペチュニア」がアメリカで販売開始。ペチュニアに生物発光キノコの遺伝子を挿入。蛍光ではないので、UVライトなどの特定の種類の光や特別な養分を必要とせず、暗闇で目視で判別可能な程度の輝度の光を放つ。USDAの認可済み。29ドルから。Nature誌のニュース記事。

6. スウェーデン国会議長が筑波大学でゲノム編集トマトを見学

Norlénスウェーデン国会議長が永田学長を訪問
筑波大学 2024年2月13日
https://www.tsukuba.ac.jp/news/20240213132739.html
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スウェーデン大使館による紹介ポストをリポストのみ

7. 大規模ノックイン技術の米ベンチャーが資金を集める

Tome launches CRISPR tool for oversized DNA
No authors listed, Nat Biotechnol. 2024 Feb;42(2):163.
https://doi.org/10.1038/s41587-024-02152-z
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大規模ノックイン技術PASTEの開発者が設立したTome Biosciences社に富士フィルムらが出資。DSBせずにCas9ニッカ―ぜ&セリンインテグラーゼで長鎖ノックインする技術。遺伝子治療や細胞療法への展開が期待される。Nature Biotechnology誌のニュース記事。

8. 上手に「戸締り」することで、より少ない水でより大きな果実を

Null mutants of a tomato Rho of plants exhibit enhanced water use efficiency without a penalty to yield
Puli et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2024 Jan 23;121(4):e2309006120.
https://doi.org/10.1073/pnas.2309006120
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CRISPR/Cas9ゲノム編集で、ROP9遺伝子をノックアウトしたトマトでは、果実の収量や品質を損なうことなく、水利用効率の向上を示した。気孔が一時的に閉鎖することで水の蒸散を抑えるが、完全に閉鎖もしないので、CO2の取り込み(=植物の成長)も維持されるらしい。PNAS誌。

9. EUがゲノム編集作物についての規制を緩和

European Parliament votes to ease regulation of gene-edited crops
SCIENCE INSIDER 2024年2月7日
https://www.science.org/content/article/european-parliament-votes-ease-regulation-gene-edited-crops
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2/7に、EU議会がゲノム編集作物についての規制緩和を決議。現状すべてGMO扱いとなっている New Genomic Technique (NGT) 植物に対し、2つのカテゴリーを設け、NGT1は非GMO扱いとする。ただし、NGT1でもNGT2でも、表示の義務はあるとのこと。Science誌のニュース記事。

10. ヒトiPS細胞でのゲノムワイドなCRISPR/Cas9スクリーニング

Genetic determinants of micronucleus formation in vivo
Adams et al., Nature. 2024 Mar;627(8002):130-136.
https://doi.org/10.1038/s41586-023-07009-0
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in vivoでの小核形成を制御する因子を同定するために、997系統の機能欠損マウス6000匹以上をスクリーニング。特にDscc1遺伝子に注目し、この欠損と相互作用する遺伝子と経路を探すために、ヒトiPS細胞でのゲノムワイドなCRISPR/Cas9スクリーニングを行った。Nature誌。

11. ゲノム編集技術の医療応用についてのレポート

ゲノム編集技術CRISPR/Cas9が欧米の実地診療にやってきた
日経メディカル 2024年2月26日
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/202402/583222.html
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12. SHARPIN遺伝子の変異とアルツハイマー病の関係

疾患ゲノム研究部 浅海裕也特任研究員らの論文がJournal of Human Genetics誌に掲載されました
国立長寿医療研究センター 2024年2月22日
https://www.ncgg.go.jp/ri/news/20240222.html
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13. ゲノム編集による「辛くないカラシナ」はどのように利用できるか?

米Pairwise社、ゲノム編集「辛くないカラシナ」で米国人の栄養向上狙う
日経バイオテク 2024年2月28日
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/24/02/15/11604/
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14. 商用スケールでの豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス抵抗豚の作出

Generation of a Commercial-Scale Founder Population of Porcine Reproductive and Respiratory Syndrome Virus Resistant Pigs Using CRISPR-Cas
Burger et al., CRISPR J. 2024 Feb;7(1):12-28.
https://doi.org/10.1089/crispr.2023.0061
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商用スケールでのPRRSウイルス抵抗豚の作出。4つのエリート豚系統で、CD163遺伝子をゲノム編集し、エクソン7を除去した。このゲノム編集ブタは、外見と行動面で正常であり、かつI型およびII型PRRSウイルス感染に対して、完全な抵抗性を獲得した。The CRISPR Journal誌。

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