2023年5月のTwitter紹介ゲノム編集論文&ニュース

株式会社セツロテックのTwitterアカウントでは、ゲノム編集に関する論文やニュースを、弊社メンバーが独断と偏見でピックアップしてつぶやいています。弊社の提供するサービスとは直接関係ない情報も含め、幅広くお届けしております。ゲノム編集技術の社会実装を目指す大学発ベンチャーとして、皆さんの新技術への理解増進の一助になれば幸いです。ぜひ、フォローを!ここでは、2023年5月のつぶやきで紹介した内容を再編成して掲載いたします。なお、本記事の内容は、発表された論文やニュースの内容を紹介するものであり、会社としての正式な見解では無く、担当者個人の理解によるものです。

1. ゲノム編集による主要アレルゲン「オボムコイド」を含まない鶏卵の作出

Transcription activator-like effector nuclease-mediated deletion safely eliminates the major egg allergen ovomucoid in chickens
Ezaki et al., Food Chem Toxicol. 2023 May;175:113703.
https://doi.org/10.1016/j.fct.2023.113703
—————————————
論文を紹介する時事通信記事をリツイートし、上記論文を紹介。

2. マイクロバイオームのゲノム編集プロジェクトが新しくスタート

IGI’s ‘Audacious’ New Frontier for CRISPR: Editing Microbiomes for Climate and Health
https://qb3.berkeley.edu/news/igis-audacious-new-frontier-for-crispr-editing-microbiomes-for-climate-and-health/
—————————————
TED で発表した Jennifer Doudna のプロジェクトに、$70M funding が決まったとのこと。マイクロバイオームのゲノム編集ツール開発で、小児喘息を緩和するための治療法と、農業からのメタン排出を抑制する新しい緩和策を目指す。

3. プライムエディターを使用することで、植物ゲノムへの正確なノックインゲノム編集に成功

Precise integration of large DNA sequences in plant genomes using PrimeRoot editors
Sun et al., Nat Biotechnol. 2023 Apr 24 (Online ahead of print)
https://doi.org/10.1038/s41587-023-01769-w
—————————————
植物ゲノムの指定の箇所に、正確に、最大11.1kbの配列をノックインゲノム編集することに成功。プライムエディターを使用。イネに、抵抗性遺伝子のカセットをノックインすることで、いもち病耐性の付与を確認できた。Nature Biotechnology 誌。

4. CRISPR/Cas9ゲノム編集でこれまでで最小のミニブタ個体を作製

GHR-mutant pig derived from domestic pig and microminipig hybrid zygotes using CRISPR/Cas9 system
Tanihara et al., Mol Biol Rep. 2023 Jun;50(6):5049-5057.
https://doi.org/10.1007/s11033-023-08388-3
—————————————
徳島大学のチームが、CRISPR/Cas9システムによるゲノム編集で、これまでで最小のミニブタ個体を作製。成長ホルモンレセプター(GHR)遺伝子を、ホモノックアウトすることで、より小柄に。生物医学研究のモデル動物としてより使いやすくする。Molecular Biology Reports誌。

5. 中国当局がゲノム編集大豆の安全性を承認。中国では1例目。(ロイター通信)

China approves safety of first gene-edited crop
https://jp.reuters.com/article/china-geneediting-idAFL4N3711ED
—————————————
ロイター通信の記事をリツイートのみ。

6. ミトコンドリア特有の停止コドンの分子メカニズムを、ゲノム編集やクライオ電顕などを組み合わせて解明

Molecular basis of translation termination at noncanonical stop codons in human mitochondria
Saurer et al., Science. 2023 May 5;380(6644):531-536.
https://doi.org/10.1126/science.adf9890
—————————————
論文の紹介ツイートをリツイートのみ。
—————————————

7. 米ベンチャーがゲノム編集技術による血液の病気の治療法をFDAに承認申請(読売新聞)

ゲノム編集医療、世界初の実用化へ…ノーベル化学賞「クリスパー・キャス9」で難病治療
https://www.yomiuri.co.jp/science/20230509-OYT1T50134/
—————————————
読売新聞の記事をリツイートのみ。

8. メロンの高効率なゲノム編集技術の開発に成功(農研機構研究活動報告)

日本育種学会第143回講演会 記者発表課題に選出されました
「メロンの高効率なゲノム編集技術の開発に成功」
https://www.naro.go.jp/project/research_activities/laboratory/nias/158244.html
—————————————
農研機構、サナテックシード、筑波大学チーム。CRISPR/Cas9をRNP+金粒子で茎頂組織に導入し、エチレン合成関連遺伝子をゲノム編集。エチレン放出量が減少し、収穫後10日目の果実でも果実表面は緑色のまま。

9. ゲノム編集技術でウイルス感染に対する感受性を低下させたウシ個体の作出に成功

First gene-edited calf with reduced susceptibility to a major viral pathogen
Workman et al., PNAS Nexus. 2023 May 9;2(5):pgad125.
https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgad125
—————————————
CRISPR/Cas9システムでゲノム編集した子牛で、牛ウイルス性下痢ウイルス感染に対する感受性が劇的に低下。ウシCD46のBVDV結合ドメインに6アミノ酸の置換。Acceligen社チーム。PNAS Nexus誌。

10. プライムエディテイングのための効率的なpegRNAデザインを解析する

Prediction of efficiencies for diverse prime editing systems in multiple cell types
Yu et al., Cell. 2023 May 11;186(10):2256-2272.e23.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2023.03.034
—————————————
論文の紹介ツイートをリツイートのみ。

11. 精子の成熟を制御するたんぱく質NICOLを発見

A small secreted protein NICOL regulates lumicrine-mediated sperm maturation and male fertility
Kiyozumi et al., Nat Commun. 2023 Apr 24;14(1):2354.
https://doi.org/10.1038/s41467-023-37984-x
—————————————
CRISPR/Cas9ゲノム編集で、NICOL遺伝子ノックアウトマウスを作製すると、精巣上体における精子成熟機構がはたらかず、精子が成熟できないため雄性不妊となった。大阪大学チーム。Nature Communications誌。

12. 臨床関連の細胞種における高効率なHDRノックインゲノム編集技術を開発

A highly efficient transgene knock-in technology in clinically relevant cell types
Allen et al., Nat Biotechnol. 2023 May 1 (Online ahead of print)
https://doi.org/10.1038/s41587-023-01779-8
—————————————
SLEEK法:必須遺伝子のエクソンを標的部位にすると、NHEJでゲノム編集された場合には細胞死につながるので、ノックイン配列を工夫すればネガティブ/ポジティブセレクションが可能。効率の良いHDRノックインゲノム編集に成功。Nature Biotechnology誌。

13. 米Pairwise社:ゲノム編集カラシナを米国で販売開始

Pairwise Introduces Conscious™ Greens, into U.S. Restaurants
https://www.pairwise.com/news/pairwise-introduces-conscious-greens-into-u.s.-restaurants
—————————————
紹介ツイートをリツイートのみ。
・CRISPR-Cas12aを利用し、辛味を除去
・4倍体のBrassica junceaにおいて発現しているミロシナーゼ遺伝子17コピー全てのアレルを機能喪失

14. 大気圧プラズマ処理により植物のゲノム編集に成功

Genome editing by introduction of Cas9/sgRNA into plant cells using temperature-controlled atmospheric pressure plasma
Yanagawa et al., PLoS One. 2023 Feb 16;18(2):e0281767.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0281767
—————————————
下記プレスリリースをリツイートのみ。
(研究成果) 大気圧プラズマ処理により植物のゲノム編集に成功
農研機構
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nias/158282.html

15. ユビキチンリガーゼ Keap1の分子進化が、陸上環境への適応に不可欠である

Molecular evolution of Keap1 was essential for adaptation of vertebrates to terrestrial life
Yumimoto et al., Sci Adv. 2023 May 19;9(20):eadg2379.
https://doi.org/10.1126/sciadv.adg2379
—————————————
活性酸素に対する防御機構に関与するKeap1を、ゲノム編集技術でゼブラフィッシュのKeap1Aに似せて変異させた遺伝⼦改変マウスの多くは、新生児期に太陽光レベルの紫外線にさらされると死亡した。Keap1の分子進化が、海から陸への一歩であることを示唆。Science Advances誌。

16. ゲノム編集技術でタマゴテングタケの猛毒の解毒剤を同定する

Identification of indocyanine green as a STT3B inhibitor against mushroom α-amanitin cytotoxicity
Wang et al., Nat Commun. 2023 May 16;14(1):2241.
https://doi.org/10.1038/s41467-023-37714-3
—————————————
CRISPR/Cas技術を活用したゲノムワイドな機能喪失スクリーニングで、タマゴテングタケの猛毒α-アマニチンの解毒剤を初めて特定。インドシアニングリーンという色素が毒性(α-アマニチンの誘発する細胞死)をブロックする。Nature Communications誌。

17. 体細胞ゲノム編集による癌モデルマウスの効率的な作出に成功

Efficient cancer modeling through CRISPR-Cas9/HDR-based somatic precision gene editing in mice
Bu et al., Sci Adv. 2023 May 12;9(19):eade0059.
https://doi.org/10.1126/sciadv.ade0059
—————————————
CRISPR-Cas9/HDR+AAVによる体細胞のゲノム編集で、癌モデルマウスを効率的に作出。体性乳腺上皮細胞において、KrasとPik3caの2つのがん遺伝子をHDRで精密に編集し、高い効率と精度で腫瘍を誘発することに成功。Science Advances誌。

18. FDAがゲノム編集生物の評価法の標準化についての取り組みを開始(FDA)

FDA Announces Project to Provide Key Tool for Animal Biotechnology Developers
https://www.fda.gov/animal-veterinary/cvm-updates/fda-announces-project-provide-key-tool-animal-biotechnology-developers
—————————————
FDAの上記プレスリリースをリツイートのみ。

19. ウイルスが感染できない劣性抵抗性植物ではたらく因子の機能を解明

Interaction of EXA1 and eIF4E family members facilitates potexvirus infection in Arabidopsis thaliana
Nishikawa et al., J Virol. 2023 May 18;e0022123.
https://doi.org/10.1128/jvi.00221-23
—————————————
下記プレスリリースをリツイートのみ。
植物ウイルスに対する劣性抵抗性の中枢因子を解明
―ゲノム編集を利用したウイルス抵抗性作物の開発につながる成果―
東京大学
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20230529-1.html

20. ドナーDNAの構造を工夫することで長鎖ノックインに成功

Efficient precise integration of large DNA sequences with 3’-overhang dsDNA donors using CRISPR/Cas9
Han et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2023 May 30;120(22):e2221127120.
https://doi.org/10.1073/pnas.2221127120
—————————————
LOCK:50ntのホモロジーアーム&3’末端オーバーハングdsDNAドナーで、2.5kbサイズを哺乳類ゲノムに効率的にノックイン。PNAS誌。

SHARE