消化器系疾患
潰瘍性大腸炎
疾患概要
腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患。腹痛、下痢、血便などの症状が現れ、重症な場合は発熱、体重減少、貧血など全身に様々な症状が引き起こされる。発症に男女差はなく、20歳代頃の比較的若い世代から高齢者まで幅広い年代で発症する。詳細な発症メカニズムは不明だが、遺伝的要因、腸内環境の悪化、過剰な免疫機構の働きなど様々な要因が重なり合って発症すると考えられている。炎症や過剰な免疫機構の働きを抑える薬物療法、過剰に働いている白血球を取り除く血球成分除去療法などが存在する。それでも効果が見られない場合は手術で大腸全摘術を行う。
関連遺伝子
ACT1 | 慢性炎症シグナルであるIL-17Aのシグナル伝達に関与するアダプタータンパク質の一つ。潰瘍性大腸炎の大腸で変異が検出された。大腸菌のグルタミンセンサーGlnDのアミノ酸結合ドメイン(ACTドメイン)を有している。 |
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FCGR2A | IgGが機能を発揮する上で重要なFcレセプターの1つ。 FCGR2A遺伝子産物であるFcγRIIaは主にマクロファージ・樹状細胞に発現しており、IgGと結合することにより抗原提示やサイトカイン産生に関与している。潰瘍性大腸炎では、 FCGR2A遺伝子の131番目のアミノ酸がアルギニンからヒスチジンに置換されることによりリスクが上昇することが明らかとなっている。 |
SLC26A3 | 大腸での塩化物イオンの効率的な吸収を助け、体液の恒常性維持に関与している。潰瘍性大腸炎患者ではSLC26A3タンパク質の発現が低下しており、SLC26A3遺伝子の変異により先天性の下痢を引き起こすことが報告されている。 |