腎・泌尿器系疾患 腎・泌尿器系疾患

多発性嚢胞腎

疾患概要

両方の腎臓にできた嚢胞が徐々に大きくなり、進行性に腎機能が低下する遺伝性腎疾患。腎臓の尿細管細胞の繊毛にある、PKD1(センサー)あるいはPKD2(カルシウムチャネル)の遺伝子異常が原因とされている。一般的には30~40歳代では無症状のことが多いが、嚢胞が大きくなると腹痛、腰痛腹部膨満、側腹部痛、肉眼的血尿などが症状として現れる。バソプレッシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンが、腎嚢胞の増大や腎機能の低下を抑えることが報告されており、トルバプタンが多発性嚢胞腎の治療薬として使用されている。

関連遺伝子

PKD1 常染色体優性多発性嚢胞腎の原因遺伝子。患者の約85%はPKD1遺伝子のヘテロ変異により引き起こされる。この遺伝子に変異を伴う集合管は、ADPKDの増悪因子であるバゾプレッシン投与に反応して嚢胞を形成する。
PKD2 常染色体優性多発性嚢胞腎の原因遺伝子。患者の約15%はPKD2遺伝子のヘテロ変異により引き起こされる。腎上皮の一次繊毛に関与するカチオンチャネルとしての機能を担う。
PKHD1 常染色体劣性多発性嚢胞腎の原因遺伝子。集合管上皮細胞や胆管上皮細胞のprimary cilia に発現するFibrocystinタンパクをコードしている。この遺伝子の異常により腎集合管の拡張や胆管拡張を生じる。